大麻の使用はなぜ処罰されないのか

大麻の使用はなぜ処罰されないのか

大麻取締法において、大麻の「使用」は禁止されていません。
覚醒剤など他の薬物が使用も禁止されていることと、大麻とのちがいはどこにあるのでしょう?

以下の説明が巷でよく言われています。

「我が国では古くから大麻を日用品や食品に加工して利用する文化がある。それら加工の過程で大麻成分を加工者が体内に取り込んでしまう可能性があり、そのような加工者の体内から大麻が検出されたとして処罰する必要のない者を処罰するおそれがあるため」

しかし、本当にそうでしょうか?上記の説明が理由であれば、一般に使用を禁止しておいて、大麻の加工者についてだけ処罰しない、とすればよいだけです。大麻の加工者か否かを判断することに困難があるとは思えません。

故小森弁護士は、ブログ「薬物問題ノート」において以下のように述べています。「欧米では、薬物の使用を処罰する例は、ごく限られています。」「むしろ、これが国際標準に近い内容なのです。」欧米など海外の規制にあわせた立法ではないかというご意見です。

https://33765910.at.webry.info/200810/article_4.html

昭和23年の立法に携わった方たちの説明というものは見当たりません。
しかし、法は改正できます。薬物事犯の法律は改正を繰り返してきました。「脱法ドラッグ」と呼ばれた合法的化学ドラッグが大きな社会問題となり、違法なものとして規制された法改正は記憶に新しいところです。

私は、大麻の「使用」を処罰の対象とする法改正が、昭和23年からこれまでの間にされてこなかったことに着目します。
大麻の「使用」を禁止するだけの社会的要請が高まらなかった。これが、大麻の使用が禁止されていない、理由なのかもしれません。
しかし、令和の現代、大麻「使用」を規制する社会的要請は、高まっています。
若年者の間であまりに広く大麻が蔓延しています。
ハードドラッグへのゲート(入口)になっていると指摘されています。
大麻の栽培・加工技術の進歩で、より危険なドラッグへ変化しているという指摘もあります。
今後、大麻の使用を禁止すべきという社会的要請から、「使用」も禁止とする法律改正がされる可能性は十分にあるでしょう。

諸橋仁智

諸橋 仁智 弁護士

関西大学法科大学院修了
2015年弁護士登録

<趣味>

ボクシング

<座右の銘>

素振りを1本でも多くやったやつが勝つ

<一言>

クライアントを全力で守ります!行政(捜査機関含む)や大企業などが相手でもお任せください。あらゆる権力からあなたを防御します!刑事・民事共に「熱心弁護」の精神で取り組みます。