キャンプ用のナイフやはさみを持ち歩いていたら逮捕される!? 

キャンプ用のナイフやはさみを持ち歩いていたら逮捕される!? 

拳銃を所有することはもちろん、キャンプ用のナイフやはさみを持ち歩いているだけでも銃刀法違反として逮捕されてしまうことがあります。今回は銃刀法違反についてご説明します。 

この記事は弁護士國府田豊が執筆しています。 

目次

1 銃刀法違反とは?

(1) 銃刀法違反とは?
(2) 具体的に何を持っていたらいけないの?
(3) 持っているだけなら大丈夫?
(4) キャンプに行く予定だけど、ナイフは持っていけないの? 

2 銃刀法違反はどれくらいの刑罰なの?

3 銃刀法違反で逮捕される?

4 銃刀法違反に関する事件の実績をご紹介します!

5 銃刀法違反の事件はぜひ北パブにご相談を!

1 銃刀法違反とは? 

⑴ 銃刀法違反とは? 

銃刀法違反とは、正式名称を「銃砲刀剣類所持等取締法」と言います。 

この法律は、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めており、拳銃や刃物等を所持・携帯すること等を規制しています。 

⑵ 具体的に何を持っていたらいけないの? 

銃刀法が所持・携帯等を規制している対象は、大きく3つに分類されます。 

① 銃砲 

拳銃や機関銃、猟銃などの銃砲の所持等を原則禁止しています。 
仕事で使用する場合や、許可を得ない限り銃砲を所持等することはできません。 

銃刀法2条1項 
この法律において「銃砲」とは、拳銃、小銃、機関銃、砲、猟銃その他金属性弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃(圧縮した気体を使用して弾丸を発射する機能を有する銃のうち、内閣府令で定めるところにより測定した弾丸の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるものをいう。以下同じ。)をいう。 

② 刀剣類 
刃が15センチ以上の刀、やり及びなぎなた、刃が5.5センチ以上の剣、飛出しナイフの所持を原則禁止しています。 

銃刀法2条2項 
この法律において「刀剣類」とは、刃渡り15センチメートル以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5センチメートル以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り5.5センチメートル以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であって峰の先端部が丸みを帯び、かつ、峰の上における切先から直線で1センチメートルの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。 

③ 刃物 

刀剣類に該当しない刃物(はさみやカッター等)であっても、一定以上の長さを有する刃物は、正当な理由なく携帯することが禁止されています。 
具体的には、刃の長さが6センチを超える刃物は、仕事で使用する場合やその他の正当な理由がある場合を除いて携帯することはできません。 

銃刀法22条(刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止) 
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。 

⑶ 持っているだけなら大丈夫? 

銃刀法は、銃砲や刀剣類の所持・携帯をも規制していますので、持っているだけでも処罰される可能性があります。 
また、直接持っていなくても、車の中に入れていた場合などにも処罰されてしまう可能性があります。 

注意が必要なのは、刃体の長さが6センチメートルをこえなくても、正当な理由のない刃物(はさみやカッター等)を隠しての携帯は軽犯罪法で規制されていますので、軽犯罪法違反で罰せられてしまう可能性もあります。 

⑷ キャンプに行く予定だけど、ナイフは持っていけないの? 

最近、老若男女を問わず、キャンプやグランピングが流行っています。 
キャンプでは、釣った魚をさばくためや、料理をするためにナイフを使用することがあります。 
このようなナイフも「正当な理由がない限り」携帯することは、銃刀法に違反してしまう場合があります。 

・正当な理由があると思われる例 
 ・キャンプで使用するナイフを購入し、箱ごとカバンに入れて持ち帰ることこと。 
 ・キャンプ場で料理をするためのナイフを車に乗せて、キャンプ場へ行くこと。 
 ・仕事がある日に、仕事用のナイフを車で持ち運ぶこと。 

・正当な理由がないと思われる例→銃刀法に違反する可能性があります! 
 ・キャンプが終わった1週間後にもかかわらず、車にキャンプ用のナイフを積んでおくこと。 
 ・仕事用のナイフを、仕事とは関係がない休日にカバンに入れておくこと。 
 ・護身用としてナイフをポケットに入れておくこと。 

2 銃刀法違反はどれくらいの刑罰なの? 

銃刀法では、所持・携帯のほか拳銃の発射や輸入なども規制しており、それらの類型によって刑罰が異なります。 
ここでは適用されることが多い「所持・携帯」についての刑罰をご説明します。 

所持・携帯した物 刑罰 根拠 
拳銃の所持(1丁) 1年以上10年以下の懲役 法31条の3前段 
拳銃の所持(2丁以上) 1年以上15年以下の懲役 法31条の3後段 
猟銃の所持 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 法31条の11第1項 
拳銃や猟銃以外の鉄砲の所持 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 法31条の16第1項 
刃渡り15cm以上の刀の所持 
刃渡り5.5cm以上の飛び出しナイフの所持 
刃体の長さが6cmを超える刃物の携帯 2年以下の懲役または30万円以下の罰金 法31条の18第2項2号 

初犯かつ銃刀法違反のみであれば、不起訴処分や起訴されてしまったとしても罰金や執行猶予処分を十分狙えます。 

しかし、銃刀法違反は他の犯罪とセットになることが多く(併合罪・へいごうざい)、その場合、他の犯罪と比較して最も重い刑の長期が1.5倍に加重されてしまうことになるため、一発実刑になってしまう可能性があります。 

※北千住パブリック法律事務所にご依頼いただければ、まずは早期釈放のための活動を行い、不起訴処分を獲得するための弁護活動を行います。起訴されてしまった場合でも、執行猶予などを獲得するための弁護活動を行います。 

3 銃刀法違反で逮捕される? 

銃刀法違反でも逮捕されることはあります。 
もっとも、逮捕されてしまうのは、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれが認められる場合ですので、逮捕されずに捜査がされる在宅事件となることもあります。 
在宅事件(在宅捜査)については、こちらの記事をご覧ください。 

銃刀法違反は、殺人罪や強盗致傷罪など他人に対して危害を加える目的で武器を持っていることが多い犯罪とセットで逮捕・起訴されることが非常に多いです。 
以下、セットとなることが多い犯罪を紹介します。

 

・殺人罪(未遂を含む)+銃刀法違反 

拳銃やナイフを使用して他人を殺してしまった場合や、殺そうとした場合に成立する類型です。 
この場合、殺人罪と銃刀法違反が別に成立しますので、併合罪の処理により、刑の長期を罪が重い方の刑期が1,5倍となります。 したがって、「死刑又は無期若しくは5年以上(30年以下)の懲役」が科せられる可能性があります。 

刑法45条(併合罪) 
確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。 

刑法47条(有期の懲役及び禁錮の加重) 
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。 

刑法14条(有期の懲役及び禁錮の加減の限度) 
1項 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮を減軽して有期の懲役又は禁錮とする場合においては、その長期を三十年とする。 
2項 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができ、これを減軽する場合においては一月未満に下げることができる。 

殺人罪について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 

・強盗罪(強盗致傷罪を含む)・傷害罪等+銃刀法違反 

他人の財産を奪うためにナイフを使用した場合や、はさみ・カッターを使用して他人に怪我をさせてしまった場合などの類型です。 
この場合も、それぞれ強盗罪(強盗致傷罪)や傷害罪などと銃刀法違反が別に成立することになります。 
したがって、より重い強盗罪(強盗致傷罪)や傷害罪などのの刑期の1.5倍の範囲内の刑罰が科せられる可能性があります。 
強盗罪について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 

傷害罪について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 

キャンプ用のナイフやはさみの持ち歩きで逮捕されるかも。銃刀法違反についてご説明します。 

4 銃刀法違反に関する事件の実績をご紹介します! 

●処分保留や不起訴処分により裁判を回避できた例 
殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反被疑事件で、不起訴処分の成果を獲得しました。(担当弁護士:馬淵未来) 

5 銃刀法違反の事件はぜひ北パブにご相談を! 

弊所は、特に刑事事件に力を入れて活動しており、逮捕される前段階の事件のほか、逮捕されてしまった事件や裁判段階の事件について豊富な経験があります。 
裁判員裁判対象事件も逮捕されてしまった捜査段階から多く受任しており、早期の身柄解放などの実績もあります。 

東京都内はもちろん、千葉・神奈川・埼玉などにも出張します。 
お困りの際は、お一人で悩まず、ぜひ足立区の北千住パブリック法律事務所にご相談ください。 
弁護士があなたやご家族の強い味方になります。 

キャンプ用のナイフやはさみの持ち歩きで逮捕されるかも。銃刀法違反についてご説明します。 

初めてご相談される方へ 

https://www.kp-law.jp/introduction/index.html

國府田 豊 弁護士

早稲田大学大学院法務研究科修了
2021年弁護士登録

<趣味>

ボート、ドライブ、カラオケ、料理

<座右の銘>

熱く冷静に

<一言>

「困っている人の正義の味方になりたい。」そういう思いで弁護士になりました。他の誰がなんと言おうと、私はあなたの味方です。どんな些細なことでもご相談ください。