特定少年

特定少年について(2022年4月1日から改正少年法が施行されます!) 

この記事は弁護士國府田豊が執筆しています。 

目次

1少年法が改正された?どうなるの?

2「特定少年」とは?

3「特定少年」に当たるとどうなるの?

⑴ 刑事裁判になる対象が広がります
⑵ 起訴された後は実名報道がされる可能性があります
⑶ 保護処分の内容が限定されます
⑷ 刑事裁判での取り扱いが異なります
⑸ 虞犯少年の対象ではなくなります

4 「特定少年」の事件こそ、ぜひ北パブにご相談を!

1 少年法が改正された?どうなるの? 

2021年5月21日に改正少年法が成立し、2022年4月1日に改正少年法が施行されました。 
もともとの少年法(以下、「旧少年法」と言います。)は、その適用対象である「少年」を、「20歳に満たない者」つまり、20歳未満の男女と規定していました(旧少年法2条1項)。 

これは、旧民法が、成人年齢を20歳と定めていたからです。 
しかし、2022年4月1日に改正民法が施行され、成人年齢が18歳に引き下げられました。 
これに合わせて、少年法の規定も改正され、18歳と19歳の少年を「特定少年」と位置づけられました。 

2 「特定少年」とは? 

特定少年とは、「18歳以上の少年」つまり、18歳以上20歳未満の男女を言います(改正少年法62条1項)。 
改正民法の施行により、18歳以上の男女は、新たに成人とされることになりますが、引続き少年法が適用される「特定少年」として保護がされることになります。 
しかし、より成人に近い扱いになされることから、17歳以下の少年や20歳以上の成人とは異なる取扱いがされることになります。 
少年事件については、こちらの記事をご覧ください。 

3 「特定少年」に当たるとどうなるの? 

⑴ 刑事裁判になる対象が広がります。 

旧少年法においては、原則的に検察官に送致されて、成人と同様の刑事手続きになる「原則逆送事件」は 

① 16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件でした(旧少年法20条2項本文)。 しかし、今回の改正少年法では、特定少年については、原則逆送対象事件に、これまでの①に加え、 

② 18歳以上の少年のとき犯した死刑、無期又は短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件 
が追加されることとなりました。 

これによって、特定少年については、例えば、現住建造物等放火罪、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪などの罪が新たに原則逆送対象事件となります。 
強制性交等罪についてはこちらの記事をご覧ください。 

強盗罪についてはこちらの記事をご覧ください。 

また、旧少年法では、逆送対象事件について、 
㋐ 死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき 
と規定していました(旧少年法20条1項)。 
しかし、今回の改正法では、死刑、懲役又は禁錮という制限がなくなり、 
㋑ 20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき 
としています(改正少年法62条1項)。 

つまり、軽微な罪であっても、家庭裁判所が刑事処分を相当と認めたときには、逆送をすることが出来ることになりました。 

▼ 少年法20条(検察官への送致)

▼ 改正少年法62条(検察官への送致についての特例)

検察官に逆送がされて、検察官が公判請求をした場合は、基本的に成人と同様の刑事裁判になります。 
刑事裁判の一般的な流れについては、こちらの記事をご覧ください。 

⑵ 起訴された後は実名報道がされる可能性があります。 

改正少年法が施行されたことにより、特定少年のときに犯した罪については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道(推知報道)は原則として禁止されます。 

しかし、逆送されて起訴された場合(非公開の書面審理で罰金等を科す略式手続の場合は除く。)には、その段階から、推知報道の禁止が解除されることとなります。 

▼ 少年法61条(記事等の掲載の禁止)

▼ 改正少年法68条(記事等の掲載の禁止の特例)

⑶ 保護処分の内容が限定されます。 

改正少年法が施行されたことにより、特定少年の保護処分は、 
① 6か月の保護観察 
② 2年間の保護観察 
③ 少年院送致 
とされ、家庭裁判所が、犯した罪の責任を超えない範囲内で、いずれかを選択することになりました。 

▼ 少年法24条(保護処分の決定)

▼ 改正少年法64条(保護処分についての特例)

⑷ 刑事裁判での取り扱いが異なります。 

改正少年法が施行されたことにより、特定少年は、逆送されて起訴された場合の刑事裁判では、原則として、20歳以上と同様に取り扱われることになります。 
例えば、判決で有期の懲役が科される場合、少年事件の対象となる17歳以下の少年には、最長15年以下の範囲で、刑の長期と短期を定める不定期刑(例:懲役5年以上10年以下)が言い渡されます。 
一方、特定少年は、20歳以上と同様に、最長30年以下の範囲で定期刑(例:懲役10年)が言い渡されることになります。 

また、17歳以下の少年は、17歳以下の少年のときに犯した罪について刑罰に処せられた場合、資格の取得等を制限する規定(例:特定の職業への就職の制限)の適用が緩和されます(例えば、執行猶予中は制限されないなど)が、 
一方、特定少年のときに犯した罪については、20歳以上の場合と同様に、前科による資格の制限を受けることになります。 

⑸ 虞犯(ぐ犯)少年の対象ではなくなります 

特定少年については、民法上の成年となることなどが考慮され、将来、罪を犯すおそれがあること(ぐ犯)を理由とする保護処分は行われません。 

4 「特定少年」の事件こそ、ぜひ北パブにご相談を! 

弊所は、特に刑事事件に力を入れて活動しており、成人の刑事事件も少年事件も豊富な経験があります。 
成人の刑事裁判では多数の「無罪」獲得実績があり、少年事件においても、成人の事件の無罪に該当する「非行なし」を獲得した実績もあります。 
また、弁護士会での研修や所内での勉強会を通じて、法改正をチェックし、日々研鑽を積んでいます。 
東京都内はもちろん、千葉・神奈川・埼玉などにも出張します。 
お困りの際は、お一人で悩まず、ぜひ足立区の北千住パブリック法律事務所にご相談ください。 
弁護士があなたやご家族の強い味方になります。 
初めてご相談される方へ 

https://www.kp-law.jp/introduction/index.html

國府田 豊 弁護士

早稲田大学大学院法務研究科修了
2021年弁護士登録

<趣味>

ボート、ドライブ、カラオケ、料理

<座右の銘>

熱く冷静に

<一言>

「困っている人の正義の味方になりたい。」そういう思いで弁護士になりました。他の誰がなんと言おうと、私はあなたの味方です。どんな些細なことでもご相談ください。