精神障がいのある方の弁護活動

目次

1 精神障がいのある方の弁護

2 精神障がい特有の弁護活動 

3 コミュニケーションの問題 

4 特別な手続きが設けられている 

5 環境調整の必要 

6 弊所にお任せください 

1 精神障がいのある方の弁護 

精神障がいがある方の弁護をする場合、一般的な弁護活動だけでなく、その障がい特性に沿った弁護活動を行う必要があります。 
ここでは、精神障がいのある方特有の弁護活動についてまとめています。 

2 精神障がい特有の弁護活動 

ここでの「精神障がい」は、広く精神疾患を有していることを指しています。統合失調症や躁うつ病だけでなく、知的障害や発達障害、認知症も含んで、「精神障がい」と言います。 

これらの精神障がいがある方の弁護活動を行う場合、他の事件と比べて、特別な点が3つあります。それは、①コミュニケーションが図りづらいこと、②特別な手続きが設けられていること、③環境調整の必要があることです。 

3 コミュニケーションの問題 

逮捕・勾留されている段階では、弁護士は捜査資料を見せてもらうことはできないので、本人から話を聞くことが一番の情報収集手段となります。 

そのため、最善の弁護活動を行うためには、精神障がいの方であっても、本人から話を聞かなければなりません。 

しかし、精神障がいのある方の場合、コミュニケーションに何らかの支障がある場合が多く、注意をしなければ、まともに話を聞くことができないことにもなりかねません。特に、突然逮捕されて、行ったこともない警察署に連れて行かれてしまい、初めて会う人に次から次に話をされたら、さらにコミュニケーションが難しい状況になっています。
そのような状態の精神障がいの方から話を聞こうとしても、重要な部分が抜け落ちてしまったり、話がかみ合わなかったりしてしまいます。また、専門的な刑事手続きの話をしても、理解されないことが大半です。 

  このような場合には、抽象的な質問を避けて具体的に聞いたり、専門的な用語は使わずに、ゆっくりと、分かるまで繰り返し説明したり、図や文章が書かれた紙を見せながら説明したりすることが考えられます。また、社会福祉士や精神保健福祉士といった専門家に同席してもらい、その方から話を聞いてもらう方法もあります。 

4 特別な手続きが設けられている 

 ⑴ 精神障がいのある方の刑事事件では、通常の刑事裁判の手続きのほかに、特別な手続きが法律で定められています。それは、心神喪失者等医療観察法上の入院・通院と精神保健福祉法上の入院です。 

精神障がいのある方全員が、この手続きに当てはまるわけではありませんが、手続きに乗ってしまう可能性を常に意識して弁護活動を行うことが必要になります。 

 ⑵ 心神喪失者等医療観察法上の入院・通院 

心神喪失者等医療観察法は、心神喪失または心神耗弱の状態で、重大な他害行為を行ったものに対して、強制的に入院や通院による医療を行う法律です。 

心神喪失または心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴になった場合や無罪・執行猶予判決となった場合に、検察官が裁判所に対して申立てを行うことにより手続きが始まります。そして、裁判所が、審判によって入院や通院により治療を受けさせるか否かを判断します。審判がなされるまでの間は、最大で3カ月間鑑定等のために入院させられ、仮に入院の審判がなされた場合には、引き続いて入院させられ、治療を受け続けなければなりません。 

 ⑶ 精神保健福祉法上の入院 

精神保健福祉法では、5つの入院形態が定められていますが、刑事事件で特に問題となるのが、「措置入院」です。 

措置入院は、警察官や検察官による通報により都道府県知事が行う入院措置決定によって、強制的に入院させるという制度です。 

刑事事件の手続き上では、検察官が起訴不起訴を判断する段階や、裁判で実刑とならずに即時に社会復帰することになった段階で、検察官から通報されて、そのまま強制入院となってしまうことがあります。 

5 環境調整の必要 

精神障がいのない方の場合であっても、身元引受人や住居を探したりして、環境調整を行うことがあります。 

しかし、精神障がいのある方の場合には、この環境調整がとても重要になります。なぜなら、事件を起こしてしまった理由が当時の環境が合っていなかった場合に、同じ環境に戻してしまうと再び事件を起こしてしまう可能性が高く、また、事件を起こしてしまったために元の環境(施設等)に戻ることができず、新たな受け入れ先を探さなければならないといったことが度々発生するためです。 

このような場合、福祉の知識やネットワークを有していない弁護士では十分に対応できませんので、福祉の専門家である社会福祉士や精神保健福祉士に協力してもらうことになります。東京弁護士会では、社会福祉士等につないでもらえる制度や社会福祉士等に依頼する際の費用を援助してくれる制度があるため、これらの制度を利用しながら、環境調整を行っていくことになります。 

6 弊所にお任せください 

障がいのある方の弁護活動には、特別な配慮が必要です。この配慮ができるか否かで、結果が変わってしまいます。 

そのため、このような活動に関して知識や経験のある弁護士に依頼をすることが重要となります。 

弊所には,刑事事件の経験が豊富な弁護士が多数在籍しています。どの弁護士も,熱意をもって,一人一人の依頼者のために,全力を尽くしています。 

あなたや家族人生にかかわることを任せるのは,どの弁護士でもいいはずはありません。ぜひ弊所の弁護士にご依頼ください。 

(文責:桑原慶) 

桑原 慶 弁護士

明治大学法学部卒業
中央大学法科大学院卒業
2016年弁護士登録

<趣味>

サッカー・漫画を読むこと

<座右の銘>

継続は力なり

<一言>

困っている人の力になりたいと思い、弁護士になりました。トラブルに巻き込まれてしまっても、その影響を最小限に抑え、これまで通りの生活が出来るよう尽力します。