刑事事件において、様々な方法で被疑者、被告人の弁護人が選ばれます。ご自身が逮捕された場合もしくは逮捕されそうな場合、またはご家族が逮捕されてしまった場合、どのように弁護士を依頼すればいいのかご紹介します。
弁護人とは、刑事事件において、被疑者や被告人の権利を守るために活動する弁護士のことをいいます。出来るだけ被疑者や被告人の利益になるように、そしてえん罪で逮捕されてしまった、裁判にかけられてしまった人の場合には罪に問われないように、最善を尽くす役割を果たします。
弁護人には私選弁護人、国選弁護人など様々な種類があります。まずはそれぞれの違いについてご紹介します。
被疑者・被告人やご家族が直接弁護士と委任契約を結んで依頼する場合、その弁護士のことを私選弁護人といいます。
逮捕されずに被疑者として捜査されている人でも、起訴された後でも、(2)の国選弁護人が選任された後でも、いつでも私選弁護人に依頼することが出来ます。勝手に選ばれるわけでもなく、ご自身で好きな弁護士と契約することが出来ます。なお、国選弁護人が就いている状況で私選弁護人が選ばれた場合には、国選弁護人は解任されます。
逮捕された人や、起訴された人がお金を払って私選弁護人に依頼することが出来ないときに、裁判官や裁判所が選んで決める弁護士のことを国選弁護人といいます。弁護士会によって運用は異なりますが、基本的には全ての弁護士が対象となるわけではなく、国選弁護人となっても良いという弁護士が登録された名簿の中から選ばれることになります。
ただし、現在の運用では、勾留された被疑者や、被告人であること、貧困などの理由で弁護人に依頼することが出来ないこと、といった要件を満たした被疑者、被告人のみが国選弁護人に依頼できることになっています。勾留されていない被疑者は国選弁護人を付けることが出来ません。
私選弁護人と国選弁護人は、正式に被疑者や被告人の代理人として活動をしていきますが、逮捕されたばかりの被疑者や、身体拘束を受けていない被疑者は、私選弁護人を付けない限り弁護士にそうした活動をお願いすることが出来ません。そこで、こうした隙間を埋めるために、当番弁護士制度が出来ました。
被疑者から依頼があった場合、当番弁護士として活動したいという弁護士が登録された名簿から、弁護士会が毎日担当者を決め、被疑者等から依頼があった場合に担当の弁護士が相談に出向くことになります。
当番弁護士は、1回無料で相談が出来ます。弁護士会が相談料を代わりに負担してくれる仕組みとなっています。
なお、当番弁護士制度は弁護士会によって運用が異なります。詳細は、ご自身の住んでいる都道府県の弁護士会のホームページ等をご参照ください。
更に、当番弁護士の相談後も、被疑者弁護援助という制度があります。被疑者は、当番弁護士を私選弁護人として委任契約を結ぶことも出来ますが、金銭的に困窮している場合、私選弁護人を依頼することが難しくなります。
しかし、一定の要件を満たす場合には、勾留前であっても、この制度を利用して、弁護費用の援助を受けることが出来ます。この場合、当番弁護士がこの制度に申込みをすることで、弁護費用を国が負担し、弁護人として活動することが出来るようになります。この場合、肩書としては私選弁護人となりますが、被疑者の費用負担はありません。
援助制度を利用して活動した後、被疑者が残念ながら勾留されてしまった場合には、事前に所定の手続きを踏んでおくことで、 同じ弁護士が国選弁護人として選ばれることが出来るようになります。
<弁護士を選ぶ手段 ※例>
国選弁護人のメリットは、費用負担がないことがあげられます。私選弁護人の場合、信頼できる弁護士に頼むことが出来たとしても、当然委任契約を結ぶことになりますから、費用は依頼者が負担しなければなりません。
この点、国選弁護人の報酬は基本的には国が負担することになります。貧困などで私選弁護人に依頼することが出来ない被疑者・被告人であっても、専門家による弁護活動を受けることが出来るのです。
なお、北千住パブリック法律事務所では、以下のような報酬体系となっております。
https://www.kp-law.jp/fee/criminalcase.html
私選弁護人を利用する何よりのメリットは、弁護士を選べることです。国選弁護人を利用した場合は、名簿に登録された弁護士のうち、国選弁護人が選ばれる日の担当者が割り振られることになります。特定の弁護士を国選弁護人として選ぶことは出来ません。当番弁護士も同様に、その日の担当弁護士が割り振られることになり、特定の弁護士を当番弁護士として相談に呼ぶことは出来ません。
弁護人は、被疑者・被告人と接見等を通じて協力しながら事件への対処をしなければなりません。しかし、国選弁護人用の名簿や、当番弁護士用の名簿には、様々な弁護士が登録しています。弁護士によって、どのような水準で弁護活動を行うかにばらつきがあります。相性や雰囲気が合わない弁護士が国選弁護人に選ばれたとしても、制度上、国選弁護人は基本的に辞めさせることは困難です。当番弁護士の場合には、どのような弁護士に当たっても無料相談は1回のみです。
さらに、国選弁護人を選んでもらうには、勾留された者であることや、資力など、一定の要件が必要となります。
この点、私選弁護人はご本人やご家族が法律事務所に相談に行くなどして、依頼するかどうかを決めることが出来ます。一度相談に行ったとしても、必ずその事務所の弁護士に頼まなければならないわけではありません。この先生にお願いしたい、そう思える弁護士が見つかるまで複数の事務所を検討してもよいのです。信頼できる弁護士に頼むことが出来れば、弁護人に対して要望等を伝えやすい面があり、その後の弁護活動も満足できる結果となる可能性は高くなるでしょう。
犯罪を犯してしまったと言っても、その内容や背景には様々なものがあります。
ニュースで大々的に報道されるような事件も、同情の余地のある事件もあります。お仕事がある人、学生など、様々な立場の人がいます。
刑事事件と言っても、これらの事情によって、最適な弁護活動は変わってきます。また、精神的な治療が必要な場合、生活のための環境調整が必要な場合など、事件についての活動以外についても考慮しなければならない場合もあります。刑事事件に熱心に取り組む弁護士に依頼するメリットとしては、このような事件ごとの最適な対応をとることが出来る点にあります。
勾留された被疑者は、基本的には決められた時間に1日1人、15分程度しか面会が出来ません。事件の内容によっては、一般の人の面会が禁じられる場合も少なくありません。しかし、弁護人であれば、1日何回でも無制限に面会に行くことが出来ます。警察官の立ち合いもありません。
逮捕されてから最大23日は捕まったまま取り調べられることになりますが、その間の精神的な負担は想像するに余りあります。逮捕、勾留されている方にとって、外部との交流は非常に重要なものとなっています。
取調べでは、話した内容が供述調書という書類にまとめられます。警察官や検察官は、事件の捜査や起訴が仕事ですから、取調べではなんとか罪を認めさせようとあの手この手を使ってきます。また、話したこととは異なる内容を書面にまとめられる可能性もあります。
弁護士に依頼すると、このような取調べでどのように対応すればいいか助言を受けることが出来ます。逮捕、勾留されている方にとって、不利、不当な捜査から逃れることが出来るのです。
平成21年から始まった制度として、裁判員制度があります。国民の中から選ばれる裁判員が裁判に参加し、数日間にわたって集中的に審理を行う裁判員裁判は、いわゆる通常の裁判とは全く異なります。法的知識のない裁判員の方々にもわかりやすい公判活動をする必要があります。
弊所では、裁判員裁判対象事件を多く扱っている弁護士が在籍しているとともに、裁判員裁判のための所内外の研修を受けるなどして、日々研鑽を積んでおります。
裁判員裁判の対象となる事件は刑が重くなる罪を対象としており、当然死刑の可能性のある事件も対象となっています。そのため、死刑回避のための弁護活動は他の事件よりも一層重要となってきます。
ご家族などが捕まってしまった方、罪となるような行為をしてしまったので、今後の最善の動き方を知りたい方など、是非当事務所までご相談ください。依頼者に寄り添い、最善の弁護活動をいたします。